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世界経済はこう変わる (光文社新書)



世界経済はこう変わる (光文社新書)

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参考価格:¥ 777 (消費税込)


「お金で測れないもの」が次の資本主義を作るというけれど...
パリバショック・リーマン破綻以降の世界経済の失速を総括し、次の時代を考える対談集。
アメリカ型(強欲)金融資本主義は、もう終わりで、モノづくりの視点を
失ったGMと同じように、復活することはできないという神谷氏。

小幡氏は、経済学者らしく現在の世界経済が大恐慌にも匹敵する状況であって、
回復まで10?20年以上、戦争を起こしても復活できないと分析する。

回復に必要なものは何か、次にくる時代は何かということについて、神谷氏は「信用の回復」、
「国民経済の縮小均衡」といった策を主張。次の時代は、「お金では測れないもの」
が重要性を増し「哲学や宗教」の時代が来ると言うが、正直言ってよくわからない。
松下幸之助がいた時代を懐かしむようなノスタルジックな雰囲気を出している。

これからの時代に「感性」が大事になるというのは、なんとなくわかる気がするが、
日本の回復のヒントがポップカルチャーだ、パフュームだ、という小幡氏の意見も
あまりに具体的すぎて、理解し難い。

超多忙のお二人だけに、十分な時間がとれずに、考えを出し切れなかったのではないだろうか。
残念な1冊だと思う。

なお、金融と宗教の関係を語るなら、お金と生き方の学校 (新しい社会のための教科書)
に小池龍之介氏が「お金と仏教」というタイトルの対談を出していて、参考になると思います。

新たな社会環境のデザイン
 『すべての経済はバブルに通じる』の人と、現役金融マンの対談。2人とも、現状を変えなければいけないという危機感を強く持っているのが伝わってきた。
 前半の現状の世界経済分析はとてもためになる。これから世界経済がどうなっていくのか、アメリカが破産する日、ドルが基軸通貨でなくなる日も近いことがよくわかる。
 株式会社化というのは責任を有限化することだから無責任経営になる、銀行は潰せるサイズにしろ、日本に必要なリーダー論、ビジネスモデルの変化など目から鱗の言説は多い。
 ただ、生粋の金融マンと生粋の経済学者の対談なのだから、もっと経済について深く突っ込んで欲しかった気が。宗教や哲学がこれから必要になってくるというのはもっともだが、それらについてのバックボーンが当人たちには余りないためか、話が表面的になってしまっている印象を受けた。
 島田裕巳氏の名前が何回か出てくるのだから、せっかくなら生粋の経済学者と生粋の宗教学者を対談させたほうが面白くなりそうだ、と思ってしまう。
 2人は初対面だそうで、年下の小幡氏が神谷氏に気を遣っているのではないだろうか、という感じがして気になった。神谷氏は古き良き時代への原点回帰を唱えているが、若い人から見れば、ただの懐古主義のオヤジのうわ言にしか見えない部分も多い。歴史は繰り返すというが、こういう懐古主義の人が現れるという歴史も繰り返されているのだろう。
 また、一方では「企業は増収増益を目指すべきではない」と言い、他方では「これから日本企業は次の核になる事業・技術をどんどん見つけ出していくべき」という、一見矛盾した言論も見受けられた。2人の中では矛盾していないのかもしれないが、少し説明不足な箇所が多い気がした。
 「アメリカ型資本主義」の終わりは、もう誰の目にも明らかなことである。次に来るのは「新しい資本主義」だと2人とも言うが、もう「資本主義」にこだわる必要もないのではないだろうか。「経済」や「資本主義」に捉われている限り、新たな社会環境のデザインはできないのではないだろうか。


なるほどと納得させられる。
慶応大学ビジネススクールの看板教授が出す経済論の第三弾。
今回も非常に充実した内容で目からうろこ。
小幡氏は東大主席、大蔵省、ハーバード博士、慶応準教授とエリート街道を歩まれてきた方だが、氏の著書にはそういったてらいがなく、非常に斬新な意見があり、いつも感心させられる。
全ての経済はバブルに通じると合わせて読みたい名著である。

アメリカが仕掛けていた金融ギャンブル戦争
「世界経済はこう変わる」というよりは、「世界はこう変わるべきだ」という色彩が強く出た作品のようです。そこでは貨幣経済のベースとなる信用の崩壊が強調されます。ただ神谷さんのほうは、なんか向こうの世界に行ってしまったようです。宗教や哲学の重要性が強調されます。ただいつもながら、「金融と経営の原点へ返れ」の中で、神谷さんが見本として出してくる事例はどうも時代(古きよき時代の日本の銀行)がかったものが多いようです。ここでは新しいビジネスモデルとの標語とは違い、歴史的な拘束をまとった事例が多数開陳されるだけです。やはり、当初の狙いとは違い、やはり現状分析の鋭さが光るようです。44ページから50ページの部分は見事に現状がまとめられていて、決して以前には復帰のしようがないことが明らかにされます。それは「歴史の終わり」ではなく「アメリカ型資本主義の終わり」です。金融並びに外部からの借金モデルに依拠したヨーロッパ経済もその例に漏れません。そこに示唆されるのは将来の惨憺たる姿です。「アメリカが仕掛けていた金融ギャンブル戦争」とは至言ですが、ここでの問題は、本物の戦争でアメリカ本土が実際に空襲されることはなかったため、当事者のアメリカに「戦争」に負けたという意識がない点かもしれません。読後感としては、伝統のないアメリカの真似は決してしてはいけないし、することもできないということです。小幡さんが指摘する「感性」の背後にある思想の体系化の重要性はそのとおりなのですが、永遠に体系化という偶像にはなじまないのが日本なのかも知れません。




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