戦後世界経済史―自由と平等の視点から (中公新書)
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分類: | 本
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発送可能時期: | アクセスしてご確認下さい
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参考価格: | ¥ 987 (消費税込)
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換骨奪胎でまとめ上げたその筆力にただただ脱帽 1945年から今年で64年。地球の歴史に直せばほんの瞬間でしかありません。
それでも64年間の間には、本書がテーマとする経済だけでもいろんなことが
ありました。大きなところではマーシャルプラン、それに対抗するソ連型社会
主義経済、日本の実質的混合経済、オイルショックに、各国でのバブル、そして
経済統合によるグローバル化・・・と言った風に。
それらを本文375p(+文献目録&索引)でまとめ上げた、それも一般人にも
分かるよう平易に記載しているのです。そして手の届く値段で発売できる新書と
言う体裁を選んだ点。内容+αも含め著者に賛辞を送りたいです。
(それと本書を送り出した中公新書編集部にも)
従来、この手のテーマを扱った本は大抵東西対立(西側先進国とソ連)だけで
終わってしまうのですが、その一環として(各時代に於いて)主流では無いアジア
アフリカ、中南米に(オイルショックだけでない)中東までをカバーしています。
各時代で各国、各地域で何が起き(何をし)、その結果はどうだったのか?
そしてそれは次代にどう影響したのか?と言った点を知るには先ずこの一冊が
あれば当分の間は事足りるでしょう。
一読して概観を掴む。後は何度も熟読し、己の知と成す。久々に何度も読み
返したい本に出会えました(知的興奮&学習、両方の意味で)。
教養新書とはかくあるべしを体現した一冊。買って損なしです。
世界経済の話ではあるが、一人ひとりの生き方にも通じる 戦後の世界経済を、石油危機が日本、欧米そして社会主義諸国に与えた影響や東アジアの経済成長の要因など、具体的で現在にも影響を与えている事項も交えて俯瞰しています。
現状の危機への対応を、何をしてはいけないかの判断力は身につけている、と評価。そして、夢想やフィクションに陥ることなく、可能性と蓋然性の違いを、データと論理のバランスを考慮しながら判別すべきと説く。これは、一人ひとりの生き方、あるいはその人が属している組織(例えば会社)にも通じるものだと感じました。
「むすびにかえて」は秀逸 経済学の本というとグラフや表がやたらと出てくるという印象がありましたが、実際の経済では政治、教育、法律に加え倫理観までが複雑に関与することを示しています。自由と平等とが同時に実現するためには微妙なバランスを保つ努力が必要になります。
過去の経済規模と現在とではその差が大きく、複雑になっているので、過去の教訓をそのまま当てはめることはできませんし、現在提唱されている仮説も検証不十分としていますが、世界経済の歴史を学ぶとともに身近な「組織」に関する考え方の参考にもなりました。
第1章はやや退屈なので、第2章から様々な事例を知り、秀逸な「むすびにかえて」を読了後に、第1章を読み返すと理解が深まると思います。
読み応えのある好著 この手の本は表とかグラフ等によって統計数値を横目に睨みながら、論を進めるのが一般的であるが、本書はこのような表・グラフは一切出てこない。だからといって決して読みにくいものではなく、わかりにくいものでもない。淡々と戦後世界の経済の移り変わりを論述している。相前後する論点がいきなり出てくるので注意して読む必要があるが、じっくり読めばとてもよくわかり、逆に一語一語を疎かにする事が出来ない素晴らしい本である。
米国及び西欧の経済の変遷を中心に論じる一方で、アジア経済圏・ラテン諸国・アフリカ諸国にも多くのページを割いているのが印象的である。既に他の類書で論じられた感の強い内容のものもあるが、読者の興味の範囲によっては「ああ、そうだったのか」と目から鱗が落ちる部分も結構あるのではないだろうか。
ブレトンウッズ体制の発端からその崩壊、ニクソンによる金・ドルの交換停止、ケインズ的な有効需要政策とこれに対抗する形であらわれてきた「小さな政府」、二度の石油危機を経た後に出てきた1980年代の新自由主義、社会主義計画経済の崩壊等々、現代世界の経済問題に興味のある者にとっては自身の知識を再整理するのに最適な一冊となろう。
中公新書2000冊目に相応しい名著である。
学究人生の集大成 各国の経済史の中に、本当に重要な出来事だけを書き込み、経済学の視点で分析、評価を加える文体は、臨場感と説得力に富む。構想に7年かけ、膨大な文献を消化した叙述は著者の学究人生の集大成を感じさせる。本書が、新書として、手に入れやすいことについて、出版社も評価したい。
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